Department of Biomolecular Sciences |
第19回分子生命科学セミナー(重点医療研究セミナー,大学院特別講義)演題:IL-18とInnate Atopy
演者:中西 憲司(兵庫医科大学・免疫学・医動物学) 日時:平成15年11月10日(月)17:30〜 場所:臨床小講堂(3114室) 講演要旨IL-18とIL-12は自然免疫系受容体(Toll like Receptor)を介する刺激を受けた免疫系細胞(樹状細胞、マクロファージ、etc)から産生される(1) 。IL-18はIL-12の存在下でNK細胞あるいは樹状細胞に作用して、IFN-γの産生を誘導する。またIL-18は、抗原とIL-12で誘導されたTh1細胞に作用してIFN-γの産生を誘導する。従って、IL-12とIL-18はIFN-γの産生を誘導して強力な抗アレルギー作用を発揮する(1) 。ところがその後、IL-18はIL-12の非共存下では、全く異なる作用を発揮することが明らかとなった(1-3)。特に、IL-18はIL-3の存在下で肥満細胞と好塩基球を直接刺激して、Th2サイトカインと化学伝達物質の産生を誘導することが明らかとなり、アレルギー性炎症を抑制するよりも、むしろアレルギー性炎症の原因となる可能性が浮上した。事実、皮膚ケラチノサイトでIL-18を過剰発現させると、マウスは多クローン性高IgE血症を伴うアトピー性皮膚炎(AD)を発症した(2) 。この様に、 IL-18は特定のアレルゲンやIgEが関与することなしに自然型アトピーを誘導する(2)。更に、IL-18を健常なマウスに投与すると、抗原刺激がなくても多クローン性にIgE産生を誘導する。我々は、IL-18がどの様なメカニズムでIgE産生を誘導するかも明らかにした(3)。本講義では、私達がこれまで明らかにしてきたIL-18によって誘導されるinnate atopyに関する研究成果を紹介する。 1) Nakanishi, K., Yoshimoto, T., Tsutsui, H.and Okamura, H. (2001) Interleukin-18 regulates both Th1 and Th2 responces. Annu. Rev. Immunol. 19, 423-474. 世話人:分子生命科学講座 木本 雅夫
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